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「ふわぁぁぁ~」
大きなアクビが出る。
眠い…。
1限がある日はツラい。
私はノロノロと部屋の鍵を閉める。
――ハルカと出逢った日から何日か経った。
あのキスのことはまだ鮮明に覚えている…。
でも、あまりにも現実離れしすぎている出来事だったから、都合のいい夢だったんじゃないかって思い始めてきたけど。
むしろ夢と思おう、と考える。
もう、きっと一生会うこともない。
忘れてしまうのが、一番いい…。
アパートの階段を降りようとした時、下から階段を上ってくる人影が目に入った。
あれ…誰だろう?
私が住むアパートは10部屋しかない小さなアパート。
住んでいる人の顔はほぼ覚えたけど…。
この人は、このアパートに住んでる人じゃ、ない。