LAST LOVE〜命を懸けた42.195km〜【完】

私は、あの頃はあの頃。

今は今でエリックが好きだから。



「ごめんなさい…私」



「知ってる。夏井なんだろ」



本人を目の前に、頷く事は出来ないけど、目で伝えてみた。

“そうです”と。



「それじゃあ…」



気まずさから、3組を出た。



「…おはよう」



「おはようございます…」



しかし、廊下には登校して来たばかりであろう、有沢さん。

髪型が整えられ、眼鏡もなかったせいか、最初は誰かわからなかった。

でも、声でわかった。



「私ね」



「…うん…」



「昔の自分に戻って、エリックとまた付き合いたいと思ってる」



あの弱々しかった彼女は、もう見当たらない。