「高槻さん…!」



「日高先生…」



騒ぎを聞き付け、走って来た日高を、小林が腕を掴んで止めた。

俺に、気を使ってくれてるのだろうか。



「サッコ…起きてくれ…」



手足が冷たい。

微かな呼吸音では、死んだのかと、勘違いを起こしそうになる。

けど、咲恵子が死ぬとは思わない。

こいつは生きるんだ。

こんな事で死なせない。

俺自身の心臓をあげたとしても、生きさせる。

俺に、お前の死に顔を絶対に見せないでくれ…。



「エリ、ック……」



そんな願いが通じたのか、咲恵子は目を閉じたまま、俺の名前を呼んでくれた。