「おじさん、おばさん。先生のとこは…」



「行って来たよ。いつかこんな日が来ると思ってたが、心臓移植を奨められた」



おじさんが、サッコの手を握りながら、しゃがみ込んだ。

おばさんに席を譲ろうと、軽く腰を上げると、「座ってて良いわよ」と、涙声で肩を押さえられた。



「…エリック。サッコな?このままだと、二十歳を迎えられるか……」



おばさんが立ち上がるのを拒んだ理由がわかった。

親父も、泣いてる。

“親が流す涙は、子供を不安にする”。

おばさんの教えは、今も変わらずあった。