「何を作ってんだ?」 「あ、おかえりなさい」 アップルパイ作りに夢中になってると、おじさんが帰って来た。 甘く煮詰めたリンゴを鍋から取り出し、「アップルパイ用」と言う。 「おぉ!お祖母さんが作ってたやつか?」 「そうそう!」 …おじさんも、覚えてるんだ。 …これを食べたら、何か少しでも、思い出してくれるかな? 全部でなくても、ある日の1日だけでも。 きっかけになれば、私も作り甲斐が増す。