LAST LOVE〜命を懸けた42.195km〜【完】

「嫌な記憶しかなくて、自分の名前しかわからなくて…、些細な事に、苛立ったんだろうな」



おじさんは鼻を啜りながら、病室を出て行ってしまった。

エリックの頭を撫でると、何も変わってないようにも思える。



「…エリック。私を、覚えてる…?」



事故の時、怖かったよね。

私が“会いたい”なんて、言わなければ良かったよね。

私にはいくらでも怒って構わないから、おじさんを思い出してよ…。

おじさんは、エリックの、お父さんだよ。