「ん――…ッ」



「咲恵子…?」



「サッコ!!」



目を覚ますと、いつもとは違う病室に居た。

ガラス越しにしか会えなかった母親と、おじさんが、手を伸ばせば触れられる距離に居る。



「…お父さんと…、エリックは…?」



「「……」」



掠れ声で訊くも、2人は答えてくれたい。



「もう…隠さないで…」



…何でかな。

手術前より、寂しさが少ないんだ。

胸が、温かい気がする。



「咲恵子…。お父さん…死んじゃった…っ」



「……お父さん……?」



「咲恵子に、心臓をくれたわ…」



…お父さんが、ここに?

私は涙を流してる事にも気付かず、胸に手を当てた。