「サエちゃん…ちょっと良いかな?」



10分を過ぎた頃、看護師さんが現れた。

一般病棟で、私を担当してくれた人が。



「どうして…ここに…?」



仕事が終わったであろう時刻。

お見舞いに来てくれたにしては、白衣のままなんて。

嫌な予感を察知した刹那、手を握られた。



「ドナーが見付かったよ。咲恵子ちゃん、今からオペしよ…」



…急に言われても…。

それに、悲しそうな声で言われたら、不安しかない。



「生きようね…」



私に何を隠してるのか。

…教えてよ…。

今のままでは、手術なんてしたくない。