夏が終わり、秋を迎える頃。

私は体力の低迷に悩まされるようになった。

病室だけの生活で、歩く事もあまりなくて。

運動しない分、食欲も湧かない為、体重もかなり減ってしまった。

このままでは餓死する勢いだけど、点滴で栄養は保たれてるみたい。



『咲恵子?お母さん来たからね…?』



「うん。ありがとう…」



体力が続かず、長く話せない為、受話器を耳元に置いたまま、目を閉じた。

瞼に浮かぶのはエリックばかり。



「エリックに…会いたいよ…」



『…咲恵子…』



母親を困らせる独り言。

…お母さん、ごめんね…。