「サッコを下ろしたら出掛けるし、ゆっくり話せよ?」



「ありがとう、おじさん…」



後部座席にゆったりと座り、どう話そうか考える。

いきなり話すべきか、少し時間を置いて話すか迷う。

マンションの前で合鍵を受け取り、おじさんと別れて。

502号室へと行く。



「…お邪魔しまーす…」


いくら合鍵を預かったと言え、人様の家に入るなんて。

抵抗感がある。

靴を揃えて、明かりの点いたリビングへ。



「…エリック」



「―――はッ!!?」



ソファーに寝転がってたエリックは、私の声に驚き、勢い良く立ち上がった。