「んぅ!甘くて美味しい!」



「私、塩で味付けされた卵焼きが好きだったけど…いつの間にかね」



エリックと最後に共にした食卓に、卵焼きがあった。

エリックの好きな、お母さんの卵焼き。

でも、食べれなくなった。

会えない寂しさが募る。

塩辛さを言い訳に、何度も泣いていた。



「いつか、美味しい肉じゃがを作る事が夢なの。ママの味を、再現したい」



聖美のお母さんは、8歳の時に事故で亡くなったらしい。

それから食べれなくなった料理。

でも、ちゃんと味は覚えてるんだって。

私も覚えてる。

エリックと一緒に食べた、卵焼きを。