お昼休みになり、私は聖美と教室で食べる事にした。
シェフに頼んで、昔から使ってるお弁当箱に詰めて貰ったんだ。
「咲恵子はお弁当なの?羨ましいなぁ」
「お弁当、持って来ないの?」
「私ね、エリックの母親が作ったご飯は食べたくないの。亡くなったママが凄く美味しくて、無理。和食は作れないし、最悪だよ」
聖美はコンビニで買ったらしいサンドイッチを頬張りながら、眉間にシワを寄せた。
私はフォークに卵焼きを刺して、聖美に差し出した。
「お母さんの味と違うだろうけど、食べて!久しぶりなんじゃない?」
聖美は微笑み、「うん」と言って、フォークを受け取ってくれた。


