あ…っ
あたしが玄関を出ると、ちょうど隣の玄関からも人影が見えた。
幼なじみ……、いや、“元”幼なじみが正しいような気もする。
「…はよ」
「…光梨(コウリ)」
彼の名前は光梨楓(カエデ)。
今じゃ学園のアイドル的存在になっちゃって、ファンクラブまで出来てたっけ。
昔は亜莉沙ちゃん、亜莉沙ちゃん…ってあたしのこと追い回してたくせに。
中学生の頃はヤンチャして警察の世話になって、今はいろんな女の子引っ掛けてるんだってね。
それもこれもみーんな、風の噂で聞いたよ。
…幼なじみのはずなのに。
向こうはあたしを妃崎(ヒサキ)、あたしは楓を光梨って呼ぶようになったのって…、いつだっけ。
「じゃあな」
「うん」
会話だって続かないし、一緒にラブラブ登校…、なんて有り得たもんじゃない。


