ばたばたと階段を降り、リビングに着くと
「…おはよ」
挨拶することにしている。
――シーン…
まぁ返ってこないのも日常茶飯事なんだけど。
見ると机の上に、白い紙切れ。
“仕事で帰れないからこれで食べといて”
の文字。
これというのは、一緒にコップの下に置かれている5000円札のことだろう。
コップには、あの人が飲んだらしきコーヒーが垂れていて、一筋の線が下に伝っている。
なぜだか今朝の夢を思い出した。
「あんたの貢がせた金なんか要らねぇよ」
でも、強がっていてもあたしは高校生。
まだまだ子供。
親に頼るしかない。
…それが、汚い金だと分かっていても。
ただ黙って、一週間分の食費を手の中に丸め込む。
ぴんぴんの新札がひどく汚れて思えた。


