「えっと、あのさ上原さん」
アクアビクスが片づけを終えて今にも帰ろうとしていた。
「上原さんは一応、俺の教え子なわけでさ」
すりガラスで透き通っていない窓では、外の景色はなにも見えない。
「学校みたいにそんなきつく取り締まってはいないけどさ、その…」
それでも、外がもう真っ暗なことだけはわかった。
「冗談ですよ、コーチ」
わかってる。わかってたことなのに。
なんで告白なんかしちゃったかなー上原凛。
イケメンなんかに恋しちゃだめって昔からわかってたでしょ。
………私、恋しちゃったの?
「え、そうなの?」
梶原コーチはきょとんとして私をプールサイドまで運ぶ。

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