妖怪と人Ⅰ




でも、すぐに笑顔になった。


「お前さんは綺麗な瞳をしているね。黒は私の好きな色だよ。」


「………」


「それよりこんなところで何をしてるんだい?人間はこのぐらいの時間には、『がっこう』という所にいるはずなんだけど、お前さんは違うのかい?」



「……崖から落ちたんだよ」

「ふふ。思ったよりドジなんだねぇ。」



「雪に慣れてないだけだ。」

「まぁ、そうゆうことにしといてあげるよ。」
そう言って、また嬉しそうに笑うのだった。



「………早くどこか行けって、言っただろう」



「でも、お前さんは話してくれるよ。」


「じゃあもう話さない。」


「ふふ。お前さんはおもしろいねぇ。………あぁ、人間の匂いが濃くなっている。もうそろそろ人がこっちに来るよ。助けてもらうんだね。」



「そんなこと分かってる。」



「じゃあ、またね。坊や」


僕がまばたきをしたら、もういなくなってしまった。

(勝手な奴だ)


あいつ中々の力だったな。どこかの祠の神か?