でも、すぐに笑顔になった。
「お前さんは綺麗な瞳をしているね。黒は私の好きな色だよ。」
「………」
「それよりこんなところで何をしてるんだい?人間はこのぐらいの時間には、『がっこう』という所にいるはずなんだけど、お前さんは違うのかい?」
「……崖から落ちたんだよ」
「ふふ。思ったよりドジなんだねぇ。」
「雪に慣れてないだけだ。」
「まぁ、そうゆうことにしといてあげるよ。」
そう言って、また嬉しそうに笑うのだった。
「………早くどこか行けって、言っただろう」
「でも、お前さんは話してくれるよ。」
「じゃあもう話さない。」
「ふふ。お前さんはおもしろいねぇ。………あぁ、人間の匂いが濃くなっている。もうそろそろ人がこっちに来るよ。助けてもらうんだね。」
「そんなこと分かってる。」
「じゃあ、またね。坊や」
僕がまばたきをしたら、もういなくなってしまった。
(勝手な奴だ)
あいつ中々の力だったな。どこかの祠の神か?

