「ちょっとそこの坊や。道を訪ねたいんだが。」
目の前にいる老婆が尋ねてくる。
あぁ、うるさい。
さっきから同じ言葉を何回も………
「耳障りだ。早くどっか行け。」
「ふふ。やはりお前さんには私の声が聴こえていたんだね。無視するなんて酷いじゃないか。」
「お前らは、いつも人間に無視されてるじゃないか。今さら、そんなこと気にしてないだろ。」
「でも、お前さんは視えてるじゃないか。視えているのに無視するのは、酷いことだろう?」
お前らに、心なんかないだろ。
僕がそう言ったら、老婆は悲しい顔をした。
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