「遥……」
「はいっ!!」
母さんの声の低さに怯えながら、ビクッと肩を揺らした。
「このっバカ息子っ!!」
母さんは顔を上げ、思いっきり叫んだ。
「どんだけ心配したと思ってるのっ!!電話も繋がらなくて…………お母さん心配したんだから……」
さっきまで、泣いていたらしい。目が充血して、真っ赤になっている。
「ごめん……」
なんだか急に申し訳ない気持ちになって素直に謝った。
「……とにかく家に入りなさい。体、冷えてるでしょ」
あぁ……無事に家に帰れてよかった……
母さんの優しさに心からそう思った。
「お父さんにも謝りなさいよ。………お父さんは特に心配してたから。……遥は『陰陽師の血』が強いんだから。」
そう、俺の先祖は陰陽師だった。
かなり前に、陰陽師の力は失ったが俺はその力を強く受け継いでしまった。
だから俺は視えるし、よく妖怪に狙われる。

