眩む視界で、目の前の男を見た。
ギョロリとしたひとつ目の男。
妖怪。
俺はちいさい頃から、妖怪を視る事ができた。
しかし、日が暮れた時だけ。
時間が限られていたとしても、妖怪を視れる事に変わりはない。
ちいさい頃はそのせいで、友達から気味悪がられた。今もだけど。
「……は…な、せ…」
「離すわけねーだろ。これから食べるんだからさあ。」
ひとつ目の妖怪は、斧を手にした。
くそ………
妖怪に食べられて死ぬのか……
湊にはもう会えねぇな…
高校ももっと行きたかったな…
母さんの言うことも、もっとちゃんと聞いとくんだった…
父さんともっと話したかった…
くそ……!!
死にたくねぇ…
「諦めるのはまだ早いと思うけど?」
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