あたしは、七瀬にもらったピンを机の下でこっそり覗いた。



たった2、3日で治るほど、あたしの臆病は軽くない。


だからこれからも、自分の意見をちゃんと言えないことがたくさんあると思う。



でも、そんな時は


昨日の舞花や今日の七瀬、それに今日のあたしのこの髪型とこのピンを思い出して、少しでも勇気を出せれば良い。



だって、同じことでこれ以上迷惑をかけるのは嫌だし、もらえた行為を大切にしたいって思うから。





「では、ホームルームを終わりましょう。挨拶」



先生のその声に合わせて、周りでがたがたと椅子が鳴った。


慌てながらピンを机に置いて、足を伸ばす。



「礼」



響いた声に合わせて、思いっきり頭を下げる。



「ありがとうございましたっ!」



その瞬間、太陽に反射した白い石が、キラっと光った気がした。





~13番 布施清夏 END~