ユーリとの関係はずっと変わらない。絶好調のまま。でも多分、相手が気を遣ってくれているからこそ、だと思う。多分……多分。
 こんな調子のユーリ、それに新しい若い男……。
 もしかして、同じ芸能人だろうか……。50万毎月払えるということは、どこかの偉いさんか、社長か、とにかく一般庶民でない気はする。
 宮下のような自由な一人暮らしに憧れ、自分もしたいと考えたことはあった。しかし、家族の心地よさから抜け出せずに、とどまり続けた。
 しかし、レイジはそれが耐えられずに家を出た……。
 見てはいないテレビの前でゆっくりとお茶を飲みながら考える。自分がレイジにしたことへの代償は、大きいのだろうか?
「おー! 噂をすればなんとやら。レイから電話よーん」
 ユーリは一旦その場を離れて自室に入る。私に言えないような内容の電話なのかと、若干ムッとしたが、すぐに部屋から出て来た。
「あぁ、良かった知り合いで。いや、愛ちゃんは出ようかどうか迷ってたみたいやけど、これでいけるわ……ふーん、ふんふん了解♪」
 ユーリは大声で電話をし終えると、こちらに向かってくる。
「エレクトロニクスの真籐って人やって、新しい人」
「えっ?」
「良かったな、知ってる人やろ?」
「えー!」
「なんか本社の人とか言ーてたけど……」
「……この前本社に言ったとき、お世話になった人だけど。えっ、ええーー!?」
 とりあえず、何の意味もなくテーブルを見つめた。
「どんな人、どんな人?」
「……イケメン。そしてエリート」
「カー! 庶民を舐めとるね」
「私はユーリさんのことは、ちゃーんとイケメンで、まあ、エリートだと思ってますから」
「そんな慰めいらんし」
「ははははは……にしても、えー、わー、どうしよう……なんか真面目な人だしなあ」
「あ、そうなの? 七三? いや、イケメンか……」
「こんなふざけた格好とか絶対見せそうにない」
 香月は、ユーリを凝視して言った。
「どんなんそれ、神経質ってこと? 真面目すぎて」
「うーん、でも仕事の時って誰でもそんな感じかなあ……」
「まあ確かにね、きちっとせないかんとこやし」
「うーん、でもなんか、不潔な人じゃないよ、多分。女ったらしとかそういう雰囲気ではなくて、こう、清潔感溢れる好青年、かなあ。そしてお金持ち。あ、そうそう副社長の息子なの」