しかしそこにいたのは―――
「お父さんとの、お話は終わった?」
アタシが越えなければならない壁、『小塚マリコ』が車にもたれて待っていた。
「小塚さん………」
「お父さんから連絡をもらったの。何の準備もなしじゃ大変だろうからって。記者のみなさんには後日会見を条件に帰っていただいたわ」
「会見、するんですか?」
「ええ。こうなったからには、堂々と親子であることを利用することにしたわ。一発大逆転満塁ホームラン打ち上げるわよ。アナタはただ、前向いて走りなさい」
プロデューサーであり、母親である小塚マリコが、父親と同じことを言って笑顔を見せた。
「はい。………お母さん」
「改めて呼ばれると、不思議な感覚ね。アナタのことはずっと教えてもらっていたから」
彼女は助手席側のドアを開けてアタシを迎え入れる。
「でも、悪くない。ありがとう、エル」
そう言って、ドアを閉めた。
「お父さんとの、お話は終わった?」
アタシが越えなければならない壁、『小塚マリコ』が車にもたれて待っていた。
「小塚さん………」
「お父さんから連絡をもらったの。何の準備もなしじゃ大変だろうからって。記者のみなさんには後日会見を条件に帰っていただいたわ」
「会見、するんですか?」
「ええ。こうなったからには、堂々と親子であることを利用することにしたわ。一発大逆転満塁ホームラン打ち上げるわよ。アナタはただ、前向いて走りなさい」
プロデューサーであり、母親である小塚マリコが、父親と同じことを言って笑顔を見せた。
「はい。………お母さん」
「改めて呼ばれると、不思議な感覚ね。アナタのことはずっと教えてもらっていたから」
彼女は助手席側のドアを開けてアタシを迎え入れる。
「でも、悪くない。ありがとう、エル」
そう言って、ドアを閉めた。

