「だけど、もう二週間だよ? このままインディーズデビューすらなくなるなんてことになったら―――」





「そうなったら、エルが悲しむ?」





それを理由にしている。





そして、それ以外の理由があることを見抜かれている。





「カエデはどうしたいのよ。インディーズデビューくらいそれなりのお金があれば自費でできるのよ。そうじゃないんでしょ?」





「―――やっぱり、ウチはエル達とバンドがしたい。そのためなら何だってできる気がするから」





「何だってできる、か。そういうの、いいよね」





表参道のカフェから眺める風景はどこか乾いた空気に包まれていた。





ネオミィが見つめる窓の外には、同じ景色は広がっていない気がする。





「ネオミィ。この前のレコーディングで録音したウチらの曲、アレンジしてくれない?」





「かまわないよ。もともとそういうオファーだったし。でも、小塚さんは了承(りょうしょう)してるの?」





「それはこれから。ネオミィの曲ができなかったのはこっちの所為(せい)だし、問題はないと思う」