その日はエルもミクもウチの部屋に泊まった。
親から出してもらっているお金で住んでいる部屋。
兄貴の形見であるベース。
高校の時のカレシからもらったターンテーブル。
ウチは誰かからたすけてもらわないと自分のやりたいことすらできないのかもしれない。
「カエデらしくない」
ウチらしいって、何?
何をどうすれば、ウチらしくなれるの?
教えてほしいよ。
「また、悩んでいるのかな? この子は」
ウチの話を優しく相づちを打ちながら聞いてくれたネオミィは笑顔を浮かべて隣にすわるウチの頬をつついた。
「悩んでるけど、答えなんかない気がする」
「自分探しなんてムダだよね」
ネオミィは立ち上がって目の前に設営されたステージを見つめた。
新宿駅にほど近いイベントスペースに組み立てられたステージが今日のハコだ。
「だってもう、自分なんだから」
ウチにはネオミィがキラキラと輝いて見える。
強くてカワイくて誰にも負けない自信を持った彼女が羨ましい。
「またそんな目で私を見てる。私はカエデが思ってるほどステキなヒトじゃないよ。まだまだこれからだから」
振り返ったネオミィはいつものカワイイ笑顔を見せた。
「さぁ、リハやるよ。手伝って」
差し出した右手は細くて、か弱いのに力強い。
「うん。わかった」
この手に触れるたび、彼女に見つめられるたび、ウチは強くなれる気がする。
親から出してもらっているお金で住んでいる部屋。
兄貴の形見であるベース。
高校の時のカレシからもらったターンテーブル。
ウチは誰かからたすけてもらわないと自分のやりたいことすらできないのかもしれない。
「カエデらしくない」
ウチらしいって、何?
何をどうすれば、ウチらしくなれるの?
教えてほしいよ。
「また、悩んでいるのかな? この子は」
ウチの話を優しく相づちを打ちながら聞いてくれたネオミィは笑顔を浮かべて隣にすわるウチの頬をつついた。
「悩んでるけど、答えなんかない気がする」
「自分探しなんてムダだよね」
ネオミィは立ち上がって目の前に設営されたステージを見つめた。
新宿駅にほど近いイベントスペースに組み立てられたステージが今日のハコだ。
「だってもう、自分なんだから」
ウチにはネオミィがキラキラと輝いて見える。
強くてカワイくて誰にも負けない自信を持った彼女が羨ましい。
「またそんな目で私を見てる。私はカエデが思ってるほどステキなヒトじゃないよ。まだまだこれからだから」
振り返ったネオミィはいつものカワイイ笑顔を見せた。
「さぁ、リハやるよ。手伝って」
差し出した右手は細くて、か弱いのに力強い。
「うん。わかった」
この手に触れるたび、彼女に見つめられるたび、ウチは強くなれる気がする。

