どーせこいつもつぐみが何考えてるのか分かってねーんだよな。
「…俺、このままでいーのかな」
「あ?なんか言ったか?」
「…なーんにもっ」
教室に近づくにつれ、知ってる奴らがチラホラ見えてくる。
そして挨拶してくる度に次に出てくる言葉は
「つぐみ(ヨシ)は?」
俺とつぐみはセットかよ…。
嬉しい言葉だけど、悲しくもある言葉。
俺=つぐみ…そう言われたように感じて嬉しかった。
でも、それは“幼なじみ”だからだ。
幼なじみという関係はもどかしくて辛い距離だ。
仲が良いから伝えるのが怖い。
近くにいるからこそ、相手の気持ちが分からない。
なぁ、つぐみ。
「隆之介っ、間に合った!」
俺…どうすればいーんだろうな。
“幼なじみ”という関係が嫌なのにこのポジションは誰にもあげたくない。
「わがままだな…」
「え?」
「何でもねーよっ」
グシャグシャ
「ちょっと!髪グチャグチャにしないでよ」

