ガチャ
「はい…斉藤です。」
「・・・柚か…?」
「……え…?」
何でこの人私の名前知ってるの…?
声が低くて少し掠れている。
けど、声だけでもこんなにも威圧感があるこの人は…
「“お義父さん”…」
そう…
この人は私のお義父さん…
でも何でいきなり…?
まだ“あの日”ではないはず…
では何故…?
「おまえ、約束守っているよな…?」
「……は…い
もちろんです」
「ふ…
ならいい。
今日電話したのは蒼に用があるからだ。
代われ」
「分かりました」
「蒼ねぇ…
電話」
「ん?
あー
うん。すぐ代わるよ」
「じゃ、ここに置いとくね…
蒼ねぇ、ごちそうさま。
おいしかったよ
あ…私もう寝るね
おやすみ」
「え…?
もう寝るの?
・・・おやすみ」
私は蒼ねぇに少しだけ笑って部屋に戻った…
笑えてたかわかんないけど…
パタン…
ズル…
「はっ…ゴホッ…
はぁ…はぁ…くっ…」
・・・私は右手に取ったものに力を入れた…
ツゥ…――
左手首からなま暖かい“不気味なほどに赤い液体”が滑り落ちた…
「ははっ…」
私の乾いた笑い声が、
ただただ真っ黒い個室に響いた……。
分かってた…
こうなることくらい。
“あの人”はお姉ちゃんと“あいつ”しか愛していない…
どうせ私はいらない存在なんだ…
いや…むしろ“邪魔な存在”でしかない…


