最後部の席に 黒ジャンパー黒マフラー黒ベレー帽の男 にたり 笑っている 余裕なのか 俺は なんの躊躇もなく 持参していた折り畳み式の傘を 投げた 投げた傘と 同じスピードで 移動する ヤツの 笑いが 上下に広がった 傘を避ける気などないらしい 傘を 口で受け止めたのだ がぶりと噛みついた 俺は ヤツの口に差し込まれた傘を さらに奥に突き刺すべく 左足で飛び前蹴りを傘に食らわした 受け止められた 俺の全体重が乗った前蹴りを 手も使わずに くわえた傘で受け止めたのだ