この男、偽装カレシにつき

「いいじゃん。
大野センパイに乗り換えれば」


翌日。
純ちゃんは、まるで駅員が路線案内をするかのように、キッパリとした口調で言った。


「だって橘センパイ、初恋の君と浮気してんでしょ?」


ポッキーをかじりながら、あっけらかんと言うと、純ちゃんは私にもその箱を突き出した。


「浮気っていうか…。
部屋に連れ込んでたのを見たっていうか…」


ポッキーをもらいつつ、私が言葉を濁してると。


「99%ヤッてるよ、それ」


未だかつてオブラートに包まれたことのない純ちゃんの言葉が、私の胸の一番痛いとこにグサリと命中した。