「ーーーえ?
橘センパイが風邪?」


そう言えば今日はヤツの顔を見ないなーなんて呑気に構えていたら、昼休みに大野センパイが驚きの事実を教えてくれた。


エロ男も人並みに風邪引いたりすんのね、なんて思ってたら。


「昨日帰るとき、かなり寒がってたからな。
見舞い、チエちゃんも行くでしょ?」


えーと。
それってやっぱり、暖房の効いてない資料室で私に学ランを貸してくれたのが原因ってコトですよね…。


昨日のアイツのことでモヤモヤしてる今、本当は顔を合わせたくないケド。
大野センパイにそう聞かれて断れるわけがない。


「…行きます」


よーし。
こうなったら行ってやる。
あのドキドキが錯覚だったって、証明してやろうじゃないの。