仕事を終えて、二人でオープンカフェで軽くランチ。



パリのカフェは大体、テラスが張り出し、屋根付きのオープンカフェを設置した店が主流。



あったかいカフェオーレと細長く硬いバケットというフランスパンを齧る。



「お前も…パリの雰囲気に馴染んでるな…。佐久間」



「そうですか・・・」


祐さんはそう呟いて、白い湯気のたつコーヒーを一口。



俺の周囲に座るのは生粋のフランス人ばかり。


囁くようなイントネーションのフランス語が飛び交う。



周囲を見ると、祐さんの言葉はお世辞にしか思えない。



俺は一人、この街の雰囲気には溶け込めていない。