HAZE GRASS 〜かすみ草〜[完]

素直になって、あきちゃんにちゃんと“好き”って伝えられる


どうしようもないこの気持ちをすべて聞いてくれる


不良で怖かったあきちゃんがすごく優しくなった


話しやすくなった


「涙ふけ、行くぞ?」

「うん!」


家の鍵を閉めてから、あきちゃんの後ろに乗った


「安全運転でお願いします」

「それは約束できねぇな。行くぞお前ら!!」


あきちゃんの声で皆が一気に走りだす


何これ、何これ何これ!


早いよぉ!


「早っはやいよぉ!」


後ろでもがいてるあたしの声が届いてないのか、あきちゃんは無視して走り続ける


「早いってばぁ!」

「こんぐらい普通だろ」


やっと聞こえたと思ったら、あきちゃんの声にかき消される


「でも楽しい!」


ギュ―っとあきちゃんの腰に巻いていた腕の力を強める


「締めすぎ!」

「怖いもん、でもさあきちゃんといちゃいちゃ出来るから楽しいよ」

「ふっ、んだよそれ」


やっぱりあきちゃんの表情は分かんない


でもあきちゃんも楽しんでることだけは分かる、いつも以上にあたしと話してくれるから


すごくすごく楽しかった


寂し家からあたしを連れだしてくれてありがとう


あきちゃん、楽しかったよ!


「また行こうね!」