HAZE GRASS 〜かすみ草〜[完]

「えへへっ、おそろいだね」

「そうだな」


でも、後ろの千紗って言うのは縫い直してよかったのかな?


本当は、颯さんの名前とっときたかったんじゃないのかな?


あたし、何か余計なことさせたかもしれないな


「ごめんね、ありがとう」

「んで謝んだよ」


変な奴だなって言って笑うあきちゃんに罪悪感を覚えた


だって颯さんのなのに、颯さんのことしらないあたしが颯さんのをきるなんて


あきちゃんと裕美に申し訳ない、それに他のみんなにも


何も知らないあたしがもらっていいのかな


「あたし...」

「大丈夫だから、裕美が言いだしたことなんだ」


えっと顔を上げるとあきちゃんは微笑んでいた


「あげるんだったら、親友にあげるんだ!って颯さんが死んだときに俺に行ってきたんだ。だからお前はなにも心配すんな、それを着て後ろに乗ってればいいんだよ」


なっ?と言ってあたしの頭を撫でた


その手に自分の手を重ねて手をつないだ


「ありがとう、みんなありがとう。あたしすごくさびしかったの。毎日朝から寝るまでずっと一人で、心...細くて」


あきちゃんはあたしを泣かす天才なのかもしれない


あきちゃんに出会ってからあたし泣いてばかりなんだもん


どうしてこんなにあたしを泣かせるの?


自然と...昔は言えなかったことを素直に言えるようになった


あきちゃんと出会ってあたしは大きく変わった


弱虫だったあたしが、少しだけ強くなった


不良が嫌いだったあたしが不良を好きになった


泣き虫は変わらないけど、けど大きく変わったよ