HAZE GRASS 〜かすみ草〜[完]

あきちゃんの言葉に、涙が溢れそうになった


でもあたしは必死で我慢して美奈子ちゃんを見ていた


「何よそれ、あたし...あたし本気で好きなのに」

「ごめん」


あきちゃんは自分のほうへぐっとあたしを近づけて、謝った


「あたし、あきらめないから!絶対千紗からあきと奪ってやる」


ここで、強い女は


“出来るものなら奪ってみなさいよ”
とか言うんだろうけど、あたしにはとてもじゃないけど言えない


あたしまだ強くないから、まだあきちゃんと話しあってないから


美奈子ちゃんはつ―んとして、あたし達の前から姿を消した


「あの...きちゃだめだったかな?」

「いや、困ってたから都合よかった」


ほっと肩をおろすと、あきちゃんはあたしの頭をポンポンとなでた


久しぶりの大きな手


「あのね、あたしあきちゃんに居たいことがあるの」


あたしの誕生日、それから自分の気持ち


まずはあたしの誕生日から


「2日後さ、映画行かない?」

「映画!?」


なっなんでそんな驚いてるの?


「ごめん、行かない」


まさか、断られると思わなかったからショックだった


「あっ、そっか。うん、分かった」


何だろう、頭が回んない


さっきの感覚とは違って...


目が回る――――――!?