HAZE GRASS 〜かすみ草〜[完]

教室へ戻ると、裕美と波留が近付いてきた


「千紗お帰り、次体育だよ」

「体育休むね、あきちゃんいる?」


クラスを見渡すと、あきちゃんの姿はどこにもなかった


「彬人なら、美奈子ちゃんに呼ばれて体育館うらに行ったよ」


体育館うら?彼女なにする気!?


「あたし行ってみる」


教室を飛び出して体育館うらに行った


体育館うらにつくとそこには泣きじゃくる美奈子ちゃんと困り果てているあきちゃんの姿があった


なんだか、出ていけない雰囲気があったから、そのままあたしは2人の姿を見ていた


何で美奈子ちゃん泣いてるの?


何で2人であんなところに居るの?


あぁ...また泣いてる


泣きすぎだよ、あきちゃん涙に弱いのに


だっていつもあたしが泣くと、あきちゃん絶対言うこと聞いてくれる


だから、涙に弱い男子なのに


あんなに泣かれたら...ねぇ


よっし!今来た風に、見つけた風にあきちゃん達に近づいてみよう


「あっ!あきちゃんいたぁ~」

「千紗!?」


あたしが近付いていくと、美奈子ちゃんはあっちを向いて涙を拭いていた


「何してるの?」


上目遣いであきちゃんを見ると、あきちゃんは“何しに来たんだよ”と言った


「あきちゃん!あきちゃんに用があったんだけどぉ、おじゃまだったね」

「いや、ちょうどいい。沢尻、おれお前のこと好きじゃない。俺が好きなのは千紗だけだ」