そして、約1時間のライブはあっという間に過ぎてしまった。 …短い。 もっと聴いていたかった。 もっともっと浸っていたかったのに。 あのギターの音が、頭の中を何回も何回も往復して離れてくれなかった。 そのせいで結局高木くんとのデートにも集中できなかったし。 ……虜にされたんだ。 ギターを華麗に弾く中山奏弥を思い出すと、時間が経った今でも胸が震える。 いつまで経っても興奮が覚めてくれない。 …なんか、あたし あいつに恋したみたいじゃない? …え? マジ?…あいつに?