「南ってさぁ」 「ん?」 「…いや、何でもない」 途中で、高木くんが微妙に傷ついた顔をして言葉を止めた。 続きが気になる…… けど聞けない。雰囲気的に。 高木くんの横顔からあいつの横顔に視線を移すと、昨日のキスを思い出して顔が熱くなる。 そして胸が切なくなるんだ。 悲しいんだよ、なんか。 君とのキス。 罪悪感があるんだよ。 ――『ごめん』 ――『今の忘れて』 その言葉が胸にチキチク攻撃してくるの。 それはきっと違和感って言う。 中山 奏弥。 あなたの心にも違和感は、ありますか?