―――竹中さんは有能な軍師で、歴史ある武家の出身。 もしかしたら戻った先で結婚しているかもしれない、と思った瞬間泣き出してしまいそうになった。 会社では必死にこらえたけど、家でまで我慢する必要はない。 窓を開けひんやりとした夜の空気の中ベランダで独り、泣いた。 「竹中さん―――…」 『………辛い思いをさせて、申し訳ありません』 不意に耳元で聞こえた声に、止まらないはずの涙がぴたっと止んだ。