所在なさげにぶら下がる両腕。今までに何人も殺めてきた両腕。 その行為自体は何一つ恥じいるものではない。 しかし。 守りたいと思えば思うほど、この腕にはそんな資格もないような気がして堪らない。 この世には戦がない。 殺人を犯せば問答無用で“犯罪者”なんだ。 …なんだ、この感情の揺らぎは。 これじゃ、まるで。 「………ありがとう」 思考を止めたのは私の手を取りそう言うあかりの声。 俺の手を躊躇なく握る頼りない掌だった。