家に帰ってから、あかりは何もなかったように夕餉の支度を始める。 俺はその背中をぼんやりと眺めていた。 「竹中さん、今夜は肉じゃがにしますね。お気に入りでしたよね?」 「あぁ。楽しみにしている」 「はーい」 俺がこの世界で最初に気に入ったものを覚えていてくれたあかりに顔が緩むのを感じながら、包丁を握る彼女をじっと見つめていたそのときだった。 ―――ピンポーン! いんたーふぉんと言ったか、来客を告げる間抜けな音が部屋に響く。 俺は立ち上がり、玄関に向かった。