俺は窓際に座布団を移動し、書物を一冊手に取る。 手触りのよい紙の質感にも溜息がこぼれた。 「呑まれてしまうな…」 初めてここに来たときから感じる柔らかさ。 この時代からはどこを見渡しても鋭さが感じられないのだ。 …隙だらけのあの女の様子に、正直俺はとっくに警戒心を失ってした。 だからといって信用しきれているかと言えば、それは否。 軍師として生きてきた者の本能だけは捨てきれない。 …俺は必ず主の元に戻るのだ。そのためだったら何を利用しても、誰を利用しようとも。