二度と手には入らないはずだった女が、今この腕の中にいる。 そう思った瞬間心が甘く疼いた。 ―――翌日。 まだ目覚めないあかりの傍らに座り、その頬に指を這わせた。 俺はまた小田原に発たなければならない。 目覚めないあかりを1人置いていくのは気が引けるが、軍師として秀吉公のそばに行かなければならないのだ。 「………あかり。早く目覚めろよ」 少し痩せてしまったようだけど、その唇だけは俺を誘惑するように柔らかい。それを親指で撫で、その親指を自分の口元に寄せた。