『……愛華ちゃん、どうかした?』
男が心配そうに首を傾げる
『いや…男の方がいきなり振り向いたんだけど……びっくりしたぁ』
『…えぇ!?バレたんじゃ……』
『ないない!この距離だよ?気付くはずないでしょ!』
女が胸を張って言う
この場所は蒼夜達から随分と離れている
この距離ではこちらの会話が聞かれる事もない
しかし男は、そう言い張る女を見て動きを止めた
いや……正しくは女の少し上を見て固まっていた
『……?槙、どうかした?』
『いやぁ〜、それが気付いちゃったんだよねぇ』
『…………ッ!!?』
女は急いで振り返る
すると…さっきまで遥か前方で楽しそうに鍵と喋っていた男が、女と男をニコニコした笑みで見下ろしていた
笑顔の奥に威圧感があり、女は足がすくむ



