店主の言葉に私は町中をキョロキョロと見回した


…………確かに


町を歩いているのは30代、40代を過ぎた人ばかり


私達の様な10代は見当たらない


心なしか……子供の姿も少ない様な気がする


『…ターゲットは若い奴…か』


蒼夜はそう呟くと、神社をじっと見つめた


つられて私も見る


古い歴史のある神社の様だ


『数年前までは平和だったんだ、この町も奴が現れてから…この町は………!』


そう言う店主の顔には悔しさが滲み出ていた


奴とは妖魔の事に違いない


『町のカップルがあの神社に近付いた瞬間、連れ去られるんだ!戻ってもこない…。お陰で若者が消えて町に活気が無くなった』


店主の目に涙が溢れる


それを蒼夜が心配そうに見ていた


若者が…しかもカップルだけが連れ去られる……


これには何か訳があるのだろうか


妖魔のランクは低いと聞いていた……


しかし手当たり次第に人間を襲う妖魔ではない様だ


本当にランクが低いのだろうか


何かがおかしい