仕方ない…もう1度声を掛けてみるか


『蒼……!』


『しかしそんな娘さんが彼氏を作らないのには何か訳が?』


声を掛けようとしたが蒼夜に声を被せられた


ったく……まだ会話を続けようっての?


『時間がないんだけど、早く町を探索しなきゃ』


私の呼び掛けに反応したのは蒼夜ではなく店主だった


『探索は…止めときな。実はね…旅行者には言わなくてはいけない事なんだろうけどさ……』


そう話す店主の表情には先ほどのハツラツとした笑顔は無い


一体どうしたのだろうと私は半ば驚きながらも店主の言葉に耳を傾ける


『1つだけ忠告しとく。町の奥にある神社には近付くんじゃないよ』


そう言う店主の表情は真剣で、冗談を言っている様には見えない


………神社?


私が首を傾げると、蒼夜はニヤッと笑った


『……何か居るんですか?』


蒼夜の問い掛けに店主は恐ろしいといった様に肩を震わせた


『若い男と女が、この町には少ないと思わないかい?』