リクがポケットからケータイを取り出して電話をかけ始める


しかし時間が経つにつれてリクの顔が険しくなった


『……繋がらない』


『……は?緊急の連絡が入るのを想定して電源は切らないはずだぞ?』


『……だよな?ってことは蒼夜が電源を切って夜魅に襲い掛かって……、よしあいつ殺す!』


『……それは大変だな』


俺は面倒臭いリクを適当にあしらい、ケータイを奪う


………確かに繋がっていない


蒼夜は意外に真面目な奴だ


リクが言ったような事情で電源を切る様な奴じゃない


想定されるのは…


……幹部か妖魔か


『……やられた』


『幹部の仕業かな?』


『…蒼夜が切ったって言ってなかったか?』


『分かれよ、冗談に決まってんだろ。あいつがそんな事する奴じゃないのくらい分かる』


リクの顔が真剣になり、俺もつられて眉間にシワを寄せる


………どっちにしろ


蒼夜と連絡が取れないというのには困った


……スパイ件を伝えておく必要があったのだが


『……まぁ、あいつは頭がキレる。スパイに気付くのを願うしかないな』


『あぁ……』


俺の言葉にリクが短く返事する


どうやら…あの2人が任務から帰って来るまで、俺の気は休まりそうもない