夜魅は何も知らされていない


知っているのは…俺達上層部と蒼夜とルゥ……


あとはYGP全体をまとめる幹部達のみ……


まぁ…蒼夜が知っているってのは幹部には知らせてないが


本人に知らせておけば
犠牲を未然に防ぐ事が出来るかもしれないのに


『……君には分からないかね?』


『……えぇ、ちっとも分かりませんね』


『……別に言わなくとも、どうせ犠牲になる。奴は鍵だ…逃げられちゃ困るんだよ』


『………ッ!』


俺の頭に血が昇っていくのが分かる


逃げてしまわないように何も言ってないのか?


幹部は夜魅を…ただの餌としか思ってない


しかも…夜魅を残酷な運命から救ってやる気もない


あいつは………世界の為に戦ってるんだぞ?


それなのに……







………世界の為に夜魅を捨てるのか?







『質問はそれだけだな、それじゃあまり時間が無いから切るぞ』


そう冷たく言葉を投げ掛けられて、一方的に電話は切れた


――ダンッ!!!!!


俺は談話室の壁に電話を勢いよく投げつける


『何でだよ…!!』


夜魅のことを考えもしない幹部に腹が立つ


夜魅を待ち受ける残酷な運命に腹が立つ


なにより………






何も出来ない自分に……1番腹が立つ