―夜魅side― 


……リーダーに報告しなきゃ


私はケータイを取り出して電話をかけ始めた


『…………っ!?』


それと同時にビュウっと強い風が巻き起こり、目の前が暗くなる


ふと見上げると、自分より遥かに大きな妖魔が満月をバックに襲い掛かろうとしていた


………しまったっ!!!


妖魔は2体居たんだったっ!!


気付いたが…、時すでに遅し


私の脳裏に自分の残虐な姿が浮かんだ


……血だらけの醜い姿


私は恐怖で堅く目を閉じた


ドォンっ!!!


しかし、妖魔の刃はいつまで経っても私を貫くことはなく
そのかわりに凄まじい音が私の耳に届いた


私は恐る恐る目を開く


『…ったく、妖魔は2体だって言われたよね?』


向かい側の屋上に1人の男が立っていた


黒髪で瞳の色は澄んだ琥珀色


身長は軽く180cmは超えている


男は棒付きキャンディーを口にくわえてニコニコと微笑んでいた


『蒼夜か……』


私は蒼夜を見上げて、わざとらしくため息を漏らす