菜々美に電話しろと言った。

とにかく事実を確かめさせたかった。

でも、菜々美は固まったまま動けないようで

声を掛けると


首を振り


「いや、や、いや~~~~~~~~~~~~!!!」


と叫んで

耳を塞いでそのまま道路に座り込んだ。

もっと、ソフトな伝え方があったのだろうか

俺ができることは何かあるのか?


座り込む菜々美の横に何もできずに立っているしかなかった。


しばらくしてポツリと菜々美が呟いた。


「春日。待っているのじゃ駄目かなあ、

 何も知らない振りして、今まで通りの私で居ては駄目?」


「お前がそうしたいなら、俺は何も言えない、

 でも、副社長はすぐにでも結婚させる勢いらしい。

 なんでも、彼女は妊娠してるらしい。」


「!!!妊娠?」


「たしか、永澤遥っていう子だって。」


「遥?」

ぷっつりと黙ったかと思うと

ユラッとして

俺の胸に倒れこんだ。