「ねえ、バンビ貰ってもいいかな。

向こうに連れて行きたいの。」


野良猫バンビ。

すかっり万里の部屋で飼い猫になっていた。


「いいんじゃね-?

 それに、万里がいなくなったらこいつ寂しいだろ

 管理人にも言っとくよ。

 こいつのせいで部屋代下げてたから喜ぶよ。」


「変な管理人さんだね、追い出さないなんて。」


「優しい人なんだよ。」


顔を見合わせてお互いに微笑んだ。


「先生、ちょっとかがんでくれる。」


「何」?

少しかがむと、頬にふわっと柔らかいものが触れてきた。

「万里、、、」


「次に会う時までわたしを覚えていてね。向こうでうんといい女になって

 先生に会いに来るから。」


耳元で囁いた。

「待っててね?」