"フッ…、生意気な女だ。…合格。"
自分の耳がおかしくなったのかと思った。
それでも自然と涙が出た。
誰かに優しく笑いかけてもらえたのも久しぶりで、こんな迷惑でしかない自分を雇ってくれるなんて思ってもいなかったから。
"明日から来な"
そう言って、頼んでもないのにカウンターにハチミツ檸檬を出してくれた。
いつも以上に甘くて、酸っぱくて、とても暖かい味がした。
「おら、美麗注文入ったぞ」
「あ、はいっ!」
注文のメモに書かれていたのは、ハチミツ檸檬。
玄さんだって普通に作れちゃう筈なのに、私にいつも注文を回してくれた。
いつの日か、疑問に思った私は聞いてみた。
"玄さんは何でハチミツ檸檬を作らないんですか?"
"俺はハチミツ檸檬を作るのが苦手なんだよ"
玄さんは、甘酸っぱい。
ハチミツ檸檬みたいな人。


